枕経のお布施の相場はいくら?他に費用はかかるの?

 

「枕経」とは、ご遺体を安置した後に行う仏教の儀式のひとつです。
枕経は「枕勤め」とも呼ばれ、ご遺体を病院から搬送して自宅などに安置し、枕元に枕飾りを設置した後で僧侶にお経をあげてもらうことをいいます。

近年は病院で亡くなることが増え、自宅ではなく葬儀業者や斎場などが運営する安置施設に搬送される場合が増えてきました。
その影響から、枕経が省略されるケースや、通夜と同時に行われるケースが増えています。
枕経は葬儀の儀式のため、普段はなじみの薄いものですが、近年は特に触れる機会が減少しています。
そのため、枕経について詳しくご存知の方は少ないのではないでしょうか。

家族が亡くなった際は平常心を保つことが難しく、葬儀業者の手配や親戚への連絡など、すべきことが山積みです。
そのため、枕経の依頼方法や費用などについて事前に知っておくことはとても重要です。
枕経についての知識を得ておけば、いざというときに手続きをスムーズに行うことができます。

今回は、枕経についての基礎知識や、枕経にかかる費用、枕経を依頼する手順などについて、詳しく解説します。

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枕経とは?

枕経とは、ご遺体を自宅などに安置した際に、枕元に枕飾りと呼ばれる小さな祭壇を設置した後、僧侶に読経してもらう仏教の儀式のことをいいます。
枕経には「まくらきょう」と「まくらぎょう」の両方の読み方があります。

かつては自宅などで亡くなる場合が多く、危篤を知らされると親族が集まり、僧侶を呼んで亡くなっていく人の枕元で読経してもらうのが通常でした。
そもそも枕経は、そうした臨終を迎えつつある人を、お経をあげながら看取る儀式でした。
しかし、現代は病院で亡くなる場合が多く、ご遺体を安置した後で枕経を行う流れが一般的です。

枕経は、亡くなっていく人が仏弟子となって往生できるように、そして迷いなく旅立てるようにという願いを込めて行われます。
通常は近親者のみで執り行われ、遺族は読経の間、僧侶の後ろで故人の冥福を祈ります。

なお、仏教の儀式のため、神式やキリスト教の儀式で行われることはありません。

また、浄土宗や浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに極楽浄土に召されると考えられています。
そのため、故人の枕元ではなく、仏壇か掛け軸の本尊に向かって読経します。

神道では枕経は行われませんが、ご遺体を安置する際に神式の枕飾りが枕元に設置され、近親者で故人の冥福を祈ります。
この神道の儀式は、「枕直しの儀」と呼ばれます。

枕経のお布施は後渡しが基本

枕経の際は、自宅などの安置場所まで僧侶に来てもらい、お経をあげてもらいます。
そして僧侶に儀式を行ってもらうためには、お布施やお車代が必要です。

ただし、枕経のお布施は「後渡し」が基本です。
枕経を依頼すればその後の葬儀も依頼することになるため、個別の儀式ごとではなく、葬儀が終わった後にまとめて渡します
通常、枕経の当日にお布施を渡すことはありません。

一般的には、枕経・お通夜・葬儀・告別式・初七日の繰上げ法要といった葬儀の儀式すべてが終わった後に、戒名料なども含めた金額を後日まとめてお布施として渡します。
そのため、枕経単独でのお布施を用意する必要はありません。

戒名料などを含んだ葬儀全体のお布施の金額は、宗派や戒名のランクごとに大きく異なります。
また、地域によっても大きな差があります。
20万円程度から50万円程度の範囲でお布施を包むことが多いですが、戒名によっては100万円以上の場合も珍しくありません

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枕経のお布施を個別に渡す場合

なお、菩提寺の僧侶の都合がつかない場合など、稀に葬儀とは別の僧侶が枕経を行う場合があります。
その際は、枕経のお布施のみを個別に渡す場合があります。

枕経のみの場合のお布施の相場は、宗教・宗派・地域によって大きく異なり、1万円から6万円程度が目安です。

個別のケースで渡し方などが異なる場合があるため、そうした際にはお寺や葬儀業者とお布施についてよく相談することをおすすめします。
お布施の金額についてお寺に直接聞いても失礼にはあたらないため、ほかの人はいくらくらい包んでいるのか、金額に迷った場合は聞いてみましょう。

お車代は当日に渡す

お布施は後日まとめて渡しますが、お車代は僧侶に足を運んでもらった際の交通費の意味があり、当日お渡しします。
枕経以外でも、葬儀・四十九日や納骨・一周忌など、法事を行うたびに渡すのが通常です。

お車代の相場

お車代の相場は、5,000円から10,000円程度です。
遠くから来てもらう場合には、実際にかかる交通費がこれよりも高くなるため、少なくともタクシーの往復分以上になるよう金額を変更します。
実際にかかる交通費にプラスして、切りのいい金額をお渡ししましょう。

なお、お車代の金額には、お布施と同じく明確な決まりがありません。
そのため、場合によって望ましい金額が異なります。
地域によっては3,000円程度が一般的な場合や、20,000円程度の場合もあります。

いくら包めばいいのかを直接お寺に聞いても失礼にはあたらないため、悩んだ場合は問い合わせてみましょう。
菩提寺が遠く、遠隔地からタクシーなどを使って来る場合には、あらかじめお寺側と相談しておくことをおすすめします。
また、葬儀に詳しい周囲の人や葬儀業者に相談するのもよいでしょう。

お車代が不要な場合もある

お車代は交通費の意味があり、僧侶が利用するタクシーを遺族が手配して料金を支払った場合などは、お車代は必要ありません
また、遺族が自家用車などで送迎する場合も不要です。

お車代の表書き

お車代を入れる袋は、不祝儀袋もしくは白封筒を使用します。
お寺に不祝儀事があったわけではないので白封筒で構いませんが、使用する場合は無地のものを選びましょう。

表書きは「御車代」や「お車代」として、毛筆か筆ペンを用いて通常の墨字で書きます。
薄墨は悲しみの感情を表現するものであり、お寺に不幸があったわけではないので薄墨は使用しません。

表面に「○○家」や氏名を書くケースが多いですが、書かない方が望ましい場合もあります。
表面に記名するかどうか、中袋や裏面に住所と氏名を書くかどうかは、宗教・宗派・地域などによって異なります。
そのため、書き方が不明な場合は、事前にお寺の方や地域の年配の方に確認することをおすすめします。
また、葬儀業者も地域のしきたりに詳しい場合が多く、相談してみるとよいでしょう。

お車代の渡し方

お車代は、小さなお盆や切手盆と呼ばれる黒く四角いお盆に、相手から文字が読める方向に乗せて渡します。
直接手渡しするのはマナー違反になるので気をつけましょう。

切手盆は、葬儀業者から借りることができる場合もあります。
また、お盆が手元にない場合は、袱紗の上に置いて渡す方法もあります。
枕経のお勤めに対する感謝を伝えつつ、お車代を渡しましょう。

なお、葬儀の香典は旧札を入れるのがマナーですが、お車代については新札・旧札どちらでも構いません。
あまりに傷んだお札は避けたほうがいいですが、通常のお札であれば問題ありません。

枕経を依頼する手順

枕経を依頼する際の手順を簡単にご紹介します。

手順その1:ご遺体の安置場所を決める

枕経は、基本的に自宅に安置する場合に行われます。
どの部屋に安置するかを決めてスペースを確保し、布団を敷いて白いシーツをかけておきます。
枕飾りを枕元に置くことも考慮して場所を決めましょう。
また、ご遺体を適切な温度で保存するために、できればエアコンのある部屋を選びましょう。

菩提寺がある場合は、この時点で親族が他界したことを伝えて、葬儀や枕経を依頼したい旨を連絡するとスムーズに手続きが進行します。
しかし、急いで連絡する必要はないため、夜間や早朝などに連絡するのは控えましょう。

手順その2:ご遺体を安置して枕飾りを設置する

病院からご遺体を業者に搬送してもらい、敷いておいた布団に北枕や西枕になるよう寝かせて、枕元に枕飾りを設置します。

枕飾りは、ご遺体を安置する際に枕元に飾る供物台であり、簡易的な祭壇でもあります。
枕経を行うのは枕飾りを設置した後であり、枕経に必須です。
葬儀業者に依頼した場合は、枕飾りは業者が準備してくれます。

宗教や宗派によって形式が異なるため、事前にどういった枕飾りが望ましいのか調べておきましょう。
なお、葬儀業者に枕飾りを依頼した場合の費用は、1万円から3万円程度が目安です。

枕飾りについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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手順その3:お寺に連絡して枕経を依頼する

菩提寺に連絡して親族が他界したことを伝え、枕経を依頼します。
故人の名前・享年・生年月日・死亡時間などを伝える必要があるため、間違えないようメモしておきましょう。
枕経を行ってもらう希望日時を伝えて、お寺の都合とすりあわせて日時を決定します。

懇意にしているお寺がない場合は、葬儀業者が紹介してくれます。
また、菩提寺の都合が合わない場合は、同宗派の別のお寺を紹介されるケースもあります。

なお、ご遺体を安置した後ではなく、病院から搬送される前にお寺に連絡しても構いません。

手順その4:枕経をあげてもらう

打ち合わせた日時に僧侶に自宅に来てもらい、枕経をあげてもらいます。
用意するものは、枕経の際に僧侶に座ってもらう座布団、枕経の後にお出しするお茶菓子、お車代などです。
不明な点がある場合は、事前に葬儀業者やお寺に相談するとよいでしょう。

枕経では、儀式中の喪主の挨拶などは基本的にありません。
ただし、枕経の前後には僧侶にきちんと挨拶しておきましょう。

枕経の時間は、30分から40分程度です。
枕経に立ち会うのは基本的に遺族のみで、親戚や故人の友人を呼ぶ必要はありません。

枕経に立ち会う際の服装は、喪服でなく平服で構いません。
ただし、派手な色の服は避けて、結婚指輪以外のアクセサリーも外しておきましょう。
また、焼香を行うため、数珠を忘れずに用意しましょう。

手順その5:葬儀や戒名に関して相談する

枕経が終わったら、僧侶にお茶とお茶菓子をお出しします。
枕経を依頼したお寺に葬儀をお願いするのが通常なので、枕経の後に戒名や葬儀の日取りなどについての相談をします。
その際、戒名のために故人の人柄やどんな人生だったのかなどを僧侶に伝えます。

相談後、枕経への感謝と後日の葬儀のお願いをしつつ、お車代を渡しましょう。

葬儀の変化から枕経も変わりつつある

以前はご遺体の安置や葬儀を自宅で行うことが多く、枕経が行われるのが通常でした。
しかし、近年は住宅事情が変化し、ご遺体の安置が自宅以外で行われることも増えてきました。

ご遺体を自宅ではなく葬儀業者などの安置施設に搬送する場合は、枕経が省略されたり通夜と同時に行われたりするケースが多いです。
住宅事情の変化とともに葬儀に対する考え方も以前から大きく変化しており、できるだけシンプルな葬儀を行いたいという考え方も一般的になりました。
そのため、枕経についても省略・簡略化されることが増えてきています。

ご遺体の安置場所や枕経を行うか否かについては、それぞれのご家庭の事情や考え方にあわせて柔軟に対応しましょう。

まとめ

枕経は、ご遺体を自宅などに安置した際に行う仏教の儀式です。
ご遺体を安置し、枕元に枕飾りを設置した後に、僧侶にお経をあげてもらいます。

枕経のお布施は後渡しが基本です。
枕経を依頼した場合は、葬儀までそのお寺にお願いするのが通常であり、葬儀に関するお布施は葬儀後にまとめて渡すのが一般的です。
そのため、枕経の際に個別にお布施を準備する必要はありません。

ただし、お車代は枕経の当日に渡す必要があるため、事前に適切な金額を調べて準備しておきましょう。

枕経は、故人が迷いなく成仏できるようにという願いが込められた儀式です。
また、枕経の時間は、遺族がご遺体と向きあって死を受け止めるための大切な時間でもあります。
近年は省略・簡略化されることも増えましたが、こうした儀式があることを知っておき、参列する場合に備えておきましょう。

家族が亡くなった際には冷静でいることは難しく、葬儀の手続きや親族への連絡などから非常に忙しくなります。
いざという時のために、枕経などの儀式の流れや依頼方法について、しっかりと把握しておくことをおすすめします。

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