葬儀でご遺体にドライアイスを使用する目的は何?

 

葬儀費用には、多くの場合「ドライアイス代」が含まれています。
ドライアイスはアイスクリームやケーキ、海産物などを持ち運ぶ際に利用されているもので、葬儀費用に含まれていると違和感を覚える人も多いのではないでしょうか。

「葬儀費用にドライアイス代があるのはなぜ?」

「ドライアイスを使わないとどうなるの?」

今回は、そんなドライアイスの使用に関する疑問について解説します。

test

ドライアイスはご遺体の保存のために使用する

ドライアイスは、ご遺体が腐敗などによって傷まないよう保存する目的で使用されます。
ドライアイスはマイナス78.5℃という非常に低温の物質であり、ご遺体を速やかに冷やすことができます。
また、ドライアイスは気化するため、ご遺体や棺などが濡れる心配がありません。

ご遺体の腐敗を防ぐために重要

人間は、死亡するとその直後から腐敗が始まってしまいます。
遺体が腐敗する原因は、体内に生息している常在菌の繁殖です。
特に腸内には多数の細菌が生息しており、細菌の活動によって死後数時間で腐敗ガスが発生し始めます。
そうした腐敗を防ぐためには、ご遺体を冷やすのが効果的です。
常在菌は5℃以下の低温ではほとんど活動できないため、なるべく5℃以下の低温にご遺体を保つことが重要です。

酵素の働きを抑制するためにも必要

ご遺体が傷む原因は、細菌だけではありません。
臓器の中には消化酵素などの多くの酵素が含まれています。
生きている間は身体に役立つ酵素ですが、死後はその働きによって臓器が分解されてしまいます。
これを自家融解といいます。
自家融解が進行すると内臓が解けてしまい、体液が漏れやすくなります。

酵素が活発に働く温度は25℃以上です。
ドライアイスを使ってそれ以下の温度に冷やすことで、自家融解によるご遺体の損傷を抑制することができます。

病原菌の繁殖を防ぐ効果もある

ご遺体を冷やしておくことは、ご遺族の健康や衛生面においても重要です。
ご遺体の温度が高い状態では病原菌の活動が活発になり、周囲の人が感染症にかかるリスクが高まります。
病原菌は一般的に15℃から45℃程度で活発になるため、それ以下の温度にご遺体を保つことが大切です。

test

ドライアイスを使用しなかったらどうなる?

ご遺体の保存には、ドライアイスなどを使用して、腐敗・自家融解・病原菌の繁殖を抑制することが重要です。
そうした処置を行わないと、ご遺体の状態は急速に悪化します。

腐敗によるご遺体の変化としては、腸から発生する腐敗ガスによる膨張があります。
腐敗ガスの発生を放置しておくと、眼球の突出や顔面の膨張が起こり、故人のお姿が大きく変化してしまいます。
また、腐敗ガスの流出による強い臭気も発生します。

腐敗によって故人のお姿が変わってしまうと、目にされるご遺族の精神的な負担が大きくなってしまい、葬儀やその後の生活にも影響を及ぼしかねません。

腐敗が進行したご遺体を元に戻すことはできず、臭気を防ぐのにも限界があります。
そうした状態になるのを防ぐためには、亡くなった後にドライアイスを速やかに使用して、ご遺体を低温に保つことが重要です。

また、ご遺体の保存が悪く病原菌が繁殖してしまうと、衛生状態が悪化してご遺族の健康にも多大な悪影響が及ぶ場合があります。
そうした事態を防ぐためにも、ドライアイスなどによるご遺体の保存は必須です。

ドライアイスを使用するメリット

ご遺体の保存方法にはドライアイス以外の方法もありますが、ドライアイスの利用が最も一般的に行われています。
ドライアイスを使う方法には、いくつかのメリットがあります。

費用が安い

ドライアイスの費用は、「1日あたり1万円程度」が目安です。
高額に思えるかもしれませんが、ほかの方法に比べれば割安です。

ご遺体の保存方法には、消毒・保存・修復処理を行う「エンバーミング」と呼ばれる方法もあります。
エンバーミングを行えば、夏で5日間、冬で7日間ほどドライアイスなしでご遺体を保存することが可能です。
しかし、エンバーミングは費用が高めで、10万円から20万円程度かかります。

また、冷蔵設備のある安置施設にご遺体を預ける方法もありますが、費用が高めです。
そうした施設は利用料がかかるほか、自宅での安置と同じく別途ドライアイス代などの冷却費用がかかるのが通常です。

ドライアイスの費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

「葬儀のご遺体用のドライアイスって必要なの?」 「ドライアイス代って普通はいくらくらいかかるものなの?」 「ドライアイス代を...

ご遺族がそばに長くいられる

ドライアイスを使用して自宅に安置すると、ご遺族がご遺体と一緒にいる時間を長く確保することができます。

安置施設にご遺体の保管を依頼すると、家族がそばにいる時間を確保するのが難しくなります。
面会できる施設もありますが、時間が決められているケースがほとんどです。
また、家族がご遺体に付き添うことができる施設もありますが、そうした施設は利用料金が高めで、1日あたり数万円かかるのが通常です。

エンバーミングは火葬が主流の日本では一般的ではなく、処置に時間もかかります。
エンバーミングはご遺体の処置時間だけで3時間程度かかるほか、処置が行える施設への移動時間もかかります。
半日程度はご遺体から離れることになるため、火葬までに一緒にいられる時間がそれだけ短くなります。

ドライアイスは扱いやすい

ドライアイスは食品などの冷却に一般的に利用されており、利便性が高いのが特長です。

ドライアイスはマイナス78.5℃という極めて温度の低い物質であり、ご遺体を急速に冷やすことができます。
また、氷のように液体にならずに気化するため、ご遺体や布団、棺などが濡れる心配がありません。
さらに、ご遺体と一緒にしたまま火葬しても有毒ガスなどが発生しません。
余った場合は風通しの良い場所に放置しておけば気化するため、処分の手間もかかりません。

ドライアイスを使用する際の注意点

メリットが多く、現在最も一般的に行われているドライアイスでの保存ですが、注意すべき点もあります。

二酸化炭素中毒に注意

ドライアイスは、二酸化炭素が固体化したものです。
ドライアイスでご遺体を冷やす際には二酸化炭素が多く放出されるため、二酸化炭素中毒に注意する必要があります。

二酸化炭素は呼気にも含まれており、無害なイメージがありますが、空気中の濃度が3%程度で頭痛やめまいが起こり、7%を超えると意識を失います。また、20%を超えると数秒で死に至ります。

特に、ご遺体を安置している部屋では絶対に眠ってはいけません。
二酸化炭素は空気よりも重く、部屋の下部に蓄積します。
そうした部屋でうっかり眠ってしまうと、二酸化炭素中毒になる恐れがあります。

ご遺体用のドライアイスによる二酸化炭素中毒で、死者が出た事例も報告されています。
ご遺体を安置している部屋では眠らず、念のためこまめに換気を行いましょう。

ドライアイスは長期保存には適していない

ドライアイスには強い冷却効果がありますが、ご遺体の長期保存には適していません。

ドライアイスはお腹や胸、頭付近に置かれ、ドライアイスが触れている部分は低温に保たれます。
しかし、身体の深部や背中、足などは効率的に冷やせません。
冷蔵庫などと違って冷たい空気が外部に流れてしまうため、どうしても冷えない部分が残ってしまいます。

亡くなった季節や安置場所の状況にもよりますが、ドライアイスで保存できる期間は「3日程度」とされています。

火葬までにそれ以上の日数がかかる場合には、冷蔵設備のある安置施設の利用を業者から勧められることが多くなるでしょう。
冷蔵設備の整った施設であれば、1週間程度はご遺体の状態を保つことが可能です。

まとめ

ご遺体は亡くなった時点から腐敗が始まってしまうため、ご遺体の傷みを防ぐための速やかな処置が必要です。

ドライアイスを使った冷却保存は、現在最も一般的に行われている保存方法です。
ドライアイスは素早くご遺体の温度を低下させることができ、ご遺体が水で濡れる心配もありません。
また、ほかの保存方法に比べて費用が安く、ご遺体と一緒に過ごす時間も長く確保できます。

その反面、ドライアイスには長期保存に適していないというデメリットがあります。
加えて、二酸化炭素中毒には十分な注意が必要です。

ドライアイスのメリットとデメリットを把握した上で、ご遺体の保存にうまく活用することをおすすめします。

test

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

NO IMAGE

家族葬の香典返しの金額相場はいくらくらいなの?

NO IMAGE

家族葬の香典返しに添えるお礼状の文例とは?注意点は何があるの?

NO IMAGE

通夜なし家族葬のメリット・デメリットとは?喪主が考えるべきことは何?

NO IMAGE

家族葬で香典・弔問・弔電を辞退したい場合ってどうしたらいいの?

NO IMAGE

病院に葬儀業者を紹介されたけど断ることはできるの?断り方はどうしたらいい?

NO IMAGE

病院紹介の葬儀社に葬儀を依頼すると損する?依頼してはいけない6つの理由